脂肪腫
脂肪腫とは
皮下に発生する軟部組織の腫瘍の中では最も多くみられる良性のできものです。脂肪腫には、皮下脂肪の浅い部分に存在する浅在性脂肪腫と、深く筋肉の中に存在している深在性脂肪腫があります。通常は、柔らかい腫瘍で一つだけできていることが多いのですが、稀にたくさんできる場合があります。
身体のどこの場所でもできますが、背部、肩、首などに多く、次いで上腕、おしり、太ももなどに多くみられます。顔面、頭皮、下腿、足にもできますが比較的少ないです。大きさは多種多様で、数mm径の小さなものから、直径が10センチ以上になるような大きなものまであります。あまりに大きい場合は悪性腫瘍との鑑別も必要になります。通常、痛みなどの症状は無く、皮膚の盛り上がりや、柔らかいしこりのように触れるのが主です。
治療法
脂肪腫に対する治療は局所麻酔下での摘出術です。腫瘍の大きさや、できた場所などを総合的に判断して最も傷跡がきれいになるように手術を行っています。
腫瘍の真上を、直線状に切開し摘出します。切開はできるだけ小さくなるように心がけています。摘出後は、血腫(血が溜まる)を予防するため十分に止血し、必要に応じてドレーンを挿入、圧迫固定します。
脂肪腫治療の流れ
①診察と診断
医師による診察を行い腫瘍が脂肪腫かどうかを確認します。日帰り手術の日程を決めます。手術を安全に行うために採血検査を行う場合もあります。
②麻酔
手術は局所麻酔で行います。できるだけ細い針で脂肪腫の周りに局所麻酔薬を注入し局所麻酔を行います。麻酔の薬がしっかり効くと痛みの感覚はなくなります。触られている感覚や引っ張られている感覚は少し残る場合があります。
③脂肪腫切除手術
麻酔がしっかり効いたことを確認してから手術を開始します。できるだけ小さい傷で取り残しの無いように注意して行います。摘出するときに脂肪腫を圧迫して押し出す場合もあります。しっかりと血が止まったことを確認して傷口を糸で縫合して手術を終了します。脂肪腫が大きい場合は傷口に血がたまらないようにビニール製のドレーン(血抜きの管)を使用する場合もあります。手術の時間は脂肪腫の大きさにもよりますが約15分から20分前後です。
④術後
手術当日は術後出血しないようにガーゼを圧迫してテープ固定します。手術当日はお風呂・シャワー・サウナ、激しい運動、飲酒は出血しやすくなったり傷の腫れを強くするので避けてください。手術して1週間程度で抜糸を行います。
脂肪腫切除の費用
脂肪腫の手術は保険適応となります。 脂肪腫のある部位や大きさによって手術費用が前後いたします。悪性の腫瘍が存在する可能性を疑う場合は病理検査も行っております。
露出部の場合
「露出部」とは、頭、顔、首、肘から先、膝から下を指します。
脂肪腫の大きさ |
手術費用 (保険適応3割負担) |
2cm未満 |
5,000~6,000円程度 |
2~4cm未満 |
11,000~12,000円程度 |
4cm以上 |
15,000円程度 |
露出部以外の場合
脂肪腫の大きさ |
手術費用(保険適応3割負担) |
3cm未満 |
4,000〜5,000円程度 |
3~6cm未満 |
10,000〜11,000円程度 |
6~12cm未満 |
12,000〜14,000円程度 |
12cm以上 |
25,000円程度 |
※手術費用とは別に、診察料・処方料で1,000円程度、検査費用で1,000円程度、病理検査費用で3,000円程度かかります。