わきが(腋臭症)
わきが(腋臭症)とは
わきの皮膚にはアポクリン腺とエクリン腺という2種類の分泌腺があります。このうちアポクリン腺から出る分泌物自体は無臭なのですが、皮膚の細菌により分解されることで臭いが生じます。このためわきの下が臭う症状が出てしまいます。性ホルモンに関係するため、思春期頃から症状が出てきます。
わきが(腋臭症)と汗臭さは根本的に違います
わきがは、エクリン腺ではなく、アポクリン腺から分泌される汗が原因となり、独特な臭いを発生する症状です。
アポクリン腺の主成分は脂質やタンパク質、アンモニア等であり、普通の汗を出すエクリン腺とは成分がまったく異なります。ワキガ(腋臭症)と汗臭さは、汗として分泌されるものの成分の差です。含まれる成分が違うため、発生する臭いも変わります。
わきが(腋臭症)の診断【重要】
当院ではガーゼなどをワキに数分挟み、実際に臭いを確認する「ガーゼ法」で診断します。当院では、実際にアポクリン腺からの臭いを確認してから治療方針を決定します。なぜかというと、先ほども述べましたが、わきが(アポクリン線の分泌物)の臭いは手術などの適応になりますが、汗臭いことは皮弁法による手術では治療できないという大前提があるからです。
「シャツが黄ばむ」
「耳垢が湿っている、ウエットである」
「他人や親からくさいと言われた」
それらの症状があることは否定は致しませんが、シャツが黄ばむからワキガ(腋臭症)があると当院では考えておりません。例えば耳垢がウエットな方が100%腋臭症であることはありません。他人から臭いを指摘されても、それがアポクリン腺特有の臭いであるかは分かりません。当院ではガーゼ法、または黄ばんだシャツを持ってきていただき、確実にアポクリン腺分泌物の臭いを確認するまでは、腋臭症であるとは判断いたしません。実際はじめて来られた時に、デオドラントなどを使用していたため臭いが確認できず、2回目の受診ではじめて確認できたなどの場合もあります。
腋の臭いの治療
皮膚の細菌による分泌物の分解を抑制する、つまりわきの下を常に清潔に保つことができれば臭いを軽減することはある程度限界はありますが、可能です。
デオドラント制汗剤も効果的です。当院では医療機関専売のD-bar(ディーバー)という、直塗りタイプのデオドラントスティックを扱っております。
D-bar(ディーバー)
D-bar(ディーバー) (15g) |
1,650円 |
エクリン汗腺からの汗臭の治療
エクリン汗腺からの通常の汗が多い場合は原発性腋窩多汗症なども合併している場合があります。
手術治療
当院では、保険診療が認められている「剪除法(皮弁法)」という術式を採用しています。
この手術はアポクリン腺からの臭いを軽減することを目的とした手術で、完全に無臭にする手術ではありません。
手術を行った後は、ある程度デオドラントなどを使うことで日常生活を送っていただく場合が多いと考えております。
また、アポクリン腺が増殖している本当のわきが(腋臭症)でない限り手術をしても効果は全くありません。
安易に診断して手術することは当院ではありません。確実に手術でアポクリン腺を減らせば症状が軽減できると術者が確信した時のみ手術を行っております。
手術は局所麻酔で行います。剪除法ではわきのシワに沿って1~2か所切開した後、医師が直接目で確認しながらアポクリン線を取るという手術方式です。手術は基本的に片方ずつで行います。
皮膚切開のイメージ
皮膚の下のアポクリン線を取り除きます。
手術後の安静
手術の後はガーゼを固定し安静が必要な期間があります。手術を受けた側の腕の使用は控えていただき、重いものを持つこともできません。そのため両方同時に手術は行わず、片方ずつ手術を行います。剪除法を受けられる場合は、手術した日と翌日に安静が保てるように予定を組んでいただく必要があります。術後によく起こるのは、手術した部位に血がたまることで、術後3~4日は注意が必要になります。その後は日常生活に戻ることが可能となります。片方の手術をしてからもう反対側の手術までおよそ2~3週間あけていただきます。
ガーゼを皮膚に固定します
腋臭症手術の効果
腋臭症手術の目的は
腋臭症手術の費用
腋臭症の手術は重度の方のみ保険適応となります。軽度の場合は手術はお勧めしておりません。
腋臭症手術 |
手術費用 (保険適応3割負担の場合) |
腋臭症手術 皮弁法 |
21,000円程度 |
当院では術後の安静のために片側ずつ手術を行っております。
※手術費用とは別に、診察料・処方料で1,000円程度かかります。