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手汗(原発性手掌多汗症)

原発性手掌多汗症とは一般的には「手汗」と呼ばれるものです。幼少期から思春期頃に発症し、精神的緊張などによって手のひらに発汗が多くなる症状を認める病気です。汗をかく量にも個人差があり、少し湿っている程度から、滴り落ちるほど大量に汗をかく人もいます。
手のひらのほかに症状が現れる部位としては、足の裏、頭や顔、腋窩(ワキ)などがあります。

原因

原発性手掌多汗症がどのようにして起こるかについてはまだはっきりと分かっていません。発汗に関わる交感神経が過剰に働いていることが原因の一つと考えられています。一部の患者さんには何らかの遺伝子が関係している可能性が指摘されています。日本人では約5%に認められており、比較的多い疾患でありますが、誰にも言えずに悩んでおられる人も多いと考えます。

症状

精神的な緊張が強い時や物を持つ時などに、一時的に両方の手のひらに多量の汗を認めます。症状が重い場合には時にしたたるほどの発汗がみられ、手のひらが常に湿って指先が冷たくなり、しもやけのように紫色になることがあります。汗の量は日中に多く、寝ているときには発汗しないのが特徴です。季節による発汗量の変動もみられ、寒い時期には発汗量が減少し、暑い時期には発汗量が増加する傾向にあります。

試験用紙や大事な書類に汗染みができてしまう
人前で発表するときに手汗でビシャビヤになる
ピアノの鍵盤や、パソコンのキーボードが汗でぬれてしまう
汗でスマホの操作がしにくくなる、誤作動しやすくなる
ゲームのパッドが汗で滑る
運転中に車のハンドルがべたついてしまう
したたる汗で電気機器が破損する
握手の際に相手に不快感を与えるのではないかと感じる

などの症状があり日常生活に大きな支障をきたします。生活の質が低下するだけではなく、不安や対人関係に悩む患者さんもいらっしゃいます。

検査・診断

原発性手掌多汗症では、ガイドラインによって診断基準が設けられています。6か月以上にわたって手のひらに多量の汗を認めることに加え、以下の6項目のうち2項目以上当てはまる場合に原発性手掌多汗症と診断されます。

初めて発症したのが25歳以下であること
発汗が左右対称にみられること
睡眠中には発汗しないこと
多汗が1週間に1回以上あること
家族歴がみられること
上記によって日常生活に支障をきたしていること

問診だけで診断されることもありますが、発汗検査が行われる場合もあります。

治療


手掌多汗症では、塩化アルミニウム外用薬による治療やイオントフォレーシス治療、ボトックス注射が行われるのが一般的です。そのほかの治療として、注射による治療や手術などがあります。

アポハイドローションによる治療

アポハイドローション20%(有効成分:オキシブチニン塩酸塩)は、2023年6月1日に発売された日本初の保険適用の原発性手掌多汗症治療薬です。エクリン汗腺にあるムスカリン受容体に対して抗コリン作用により発汗を抑制します。

1日1回就寝前に、適量を両手掌全体に塗布します。1回の塗布量は、両手掌に対しポンプ5押し分を目安とします。そのまま就寝していただき、朝に手を洗って洗い流します。

アポハイドローション20%の薬剤の値段は、一本当たり2,358円です。1本は1週間分の分量になります。3割負担の患者さまで1本あたり約707円(薬剤費のみ)となります。新医薬品については、「1年間は14日分を限度として投与すること」とされていますので、1回の診察につき2本の処方が上限となります。

12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施されておりません。

ボトックス注射による治療

手のひらに2cm間隔でボツリヌス菌毒素を注射し、発汗を促す交感神経のアセチルコリンという神経伝達物質の放出を抑えることで発汗を抑制します。この治療を行うことによって1週間程度で発汗量が減少し、効果は約6か月持続します。ただし、現在のところ保険適用外とみなされています。

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